相続税を依頼する場合の税理士の選び方
相続税を依頼する場合の税理士の選び方のポイントとしては、以下のものがあります。
1 通達、過去の取り扱いを熟知していること
相続税については、財産の評価方法、税額の計算方法、税額軽減の制度等、様々なルールが定められています。
このようなルールは、相続税法だけでなく、通達や過去の取り扱いで詳細に固められています。
このように、通達や過去の取り扱いを熟知していなければ、適切な相続税の申告を行うことはできません。
たとえば、相続放棄をした相続人が、生命保険金を受け取り、相続税が課税されることとなった場合、以下の点はどのようになるのでしょうか?
- ① 相続放棄をした人は、生命保険金の非課税枠を使えるのでしょうか?
- ② 相続放棄をした人が被相続人の医療費を支払った場合、債務控除を用いることはできるのでしょうか?
- ③ 相続放棄をした人は、未成年者控除を用いることはできるのでしょうか?
これらの点を正確に答えられる人は、税理士でも少ないでしょう。
これらの点に正確に答えるには、通達や過去の取り扱いを熟知している必要があります。
このように、相続税については、税理士の中でも、通達や過去の取り扱いを熟知している人に依頼するのが良いでしょう。
2 最新の規定をキャッチアップしていること
相続税については、毎年のように、規定の変更がなされています。
このため、過去の規定では税額軽減の対象であったのに、最新の規定では税額軽減の対象にならないといったことがあり得ます。
にもかかわらず、過去の規定に基づいて相続税の申告をしてしまうと、誤った申告を行ったこととなり、加算税や延滞税の対象になる可能性があります。
たとえば、小規模宅地等の特例について、かつては、過去3年間に、自分名義または配偶者名義の居宅に居住したことがない相続人は、いわゆる家なき子に該当し、宅地の評価額を8割減じる特例を用いることができました。
ところが、平成30年度の税制改正により、過去3年間に、3親等以内の親族名義や特別な関係のある法人名義の居宅に居住していた人については、宅地の評価額を8割減じる特例を用いることができないこととなりました。
こうした最新の規定をキャッチアップしていなければ、正確な相続税の申告を行うことはできません。
このように、最新の規定を把握するには、普段から、相続税に関する改正にアンテナを巡らせておくことが必要不可欠です。
3 相続税を依頼する場合の税理士の選び方
このように、通達、過去の取り扱いを熟知し、最新の規定をキャッチアップするためには、普段から、相続税の案件を集中的に担当していることが必要不可欠でしょう。
他の税目の合間に、スポットで相続税の案件を受けているのみですと、こうした知識に漏れが生じるおそれもあります。
相続税を依頼する税理士を選ぶ際には、専門特化を行っているかどうか等を判断基準にすることができるでしょう。